【作品情報】
題名:幸運の25セント硬貨
著者:スティーヴン・キング
発売年:2004年
出版社:新潮文庫
【解説】
ネバダ州、カーソンシティのホテルで働くシングルマザーのダーリーン。彼女はいつもと同じように客室清掃の仕事にとりかかろうとしていた。彼女の担当する322号室に入ると枕の上には小さな封筒が。その封筒の中には25セント硬貨が1枚と「これは幸運の25セント硬貨です。きみはツイスティーヴン・キングの短編集。表題の「幸運の25セント硬貨」を始め「など何もかもが究極的」「L・Tのペットに関する御高説」など全7話収録。
【感想】(ネタバレあり)
短編集の最後に収録されている「幸運の25セント硬貨」の感想です。著者のスティーヴン・キングがネバダ州のさびれたホテルに泊まった時に思いついた話のようです。この話は二十数ページなのであっという間に読み終わります。
旦那に家を出ていかれ、シングルマザーとして子供二人を育てる女性ダーリーンが主人公です。彼女の仕事はホテルの客室清掃員。日々考えることといえば、子供に買ってあげたいおもちゃの事や、受けさせてあげたい歯列矯正の事。どれもこれもお金がないとできないことばかり。そしてそんな彼女に訪れる幸運の話です。
彼女は担当する部屋で25セントのチップと「これは幸運の25セントです」という手紙が入った封筒を手にします。ここから物語の半分は彼女の想像で進みます(後で騙されていたことに気づきます)。想像の中で彼女はこの25セントを元手に、スロットマシンで当て、町のカジノで大儲けをします。
しかし、想像は想像。ふと現実に戻りそこに手紙なんかなかったことに気づきます。あったのは25セント硬貨だけ。その後体調が悪くて職場にまでやってきた自分の子供にそのチップを渡すのですが・・・彼女はそのチップで息子がスロットを当ててしまうことを確信しているんですね。そこで彼女は子供と自分に何が必要なのかを考えます。娘には歯列矯正、喘息持ちの息子には医者に連れていく事。
そして彼女自身には・・・
「何もいらない」
この答えにたどり着きます。
「何も必要ない、陰鬱な日々だって、寂しい夜だって笑ってやり過ごせる」
すごいですね、こんな風に前向きに考えられたらどんなに毎日が気楽に楽しくなるだろう。こういう前向きな人にこそ、いいことがやってくるのかな。
沢山悩みがある人。
落ち込んでいる人。
うまくいかない人。
僕もそのうちの一人ですが、ぜひこの話読んでみてください。
読めば20分程度。
話も難しくありません。
この話を読んでちょっとでもいい気持になってくれたら僕もうれしいです。
「あたしはついている。ついてるわ」
話はこの言葉で締めくくられますが、こういう気持ちをもって毎日を過ごしたいものですね。